ハンネマン & マヌエラ Ａ

マヌエラ
……だから、ハンネマン！ あれは、あなたが余計なことをするから！

ハンネマン
いいや、違う。そもそも前提が異なるのだ。 我輩は君のことを考えてだな……！

マヌエラ
はあ……いい加減に、やめましょう。 どうしていつもこうなるのかしら。

ハンネマン
仕方あるまい。どうやら我輩と君は どこまでいっても反りが合わぬようだ。

ハンネマン
はは。ここまで相性が悪いというのは、 もはや宿命と思うほかあるまい。

マヌエラ
ふふ……嫌な宿命ね、それ。

マヌエラ
しかも徹底的に憎み合うならまだしも、 喧嘩して和解しての繰り返し……疲れるわ。

ハンネマン
確かに、いつまで経っても同じやりとりを 繰り返してしまっているな。

マヌエラ
ほんっと、労力の無駄だわ。何もかも、 ちぐはぐなのよ、あたくしたち……。

マヌエラ
……ねえ、ハンネマン。 あたくし、聞いたことがあるんだけど……

マヌエラ
似た者夫婦は良い夫婦って言うでしょう？ 趣味や価値観が似てると上手くいくって。

マヌエラ
でも逆に、何もかもちぐはぐで、 性格がずれている夫婦も悪くないそうよ。

マヌエラ
お互いの欠点を補って、支え合えるから、 ちょうど収まりが良くなるみたいなの。

マヌエラ
でも、まったく信じられない話よねえ。 あたくしたちがこんなに苦労しているのに。

ハンネマン
ふむ……簡単に否定するのも、 どうであろうな。例えば……

ハンネマン
我輩は掃除は得意だが、料理は苦手だ。 一方、君は掃除は苦手だが、料理が得意だ。

ハンネマン
それぞれ苦手なものを頑張るより、我輩が 掃除、君が料理と、分担すれば楽であろう。

マヌエラ
ま、確かにそういうのは、 上手く回るかもしれないわね。

ハンネマン
うむ。二人の能力を足して等分すれば、 少なくとも家事の面では問題が生じない。

ハンネマン
その調子で我々が、いろいろな面で 少しずつ補い、支え合っていければ……

ハンネマン
案外、上手くいくのかもしれんぞ。 我輩とマヌエラ君であれば、な。

マヌエラ
ふふふふっ、そうね。 そうかもしれないわ。

マヌエラ
あたくしとあなたが…… ……って、どうしてそうなるのよ！

マヌエラ
まるであたくしたちが夫婦になったほうが 良いみたいな話になってるじゃない！

マヌエラ
あり得ないわよ、そんなこと。 まったくもう！

ハンネマン
なぜ、我輩が怒られねばならん？ 言い出したのは君のほうだろう！